慢性心不全
慢性心不全とは
心臓は、全身の筋肉や臓器に血液を送るポンプの役割をしています。全身を回ってきた血液を肺へ送り、酸素と二酸化炭素のガス交換を行うのです。
様々な原因でそのポンプの機能が働かなくなっている状態を心不全といいます。
つまり、心不全とは、病名ではなく「状態」のことです。原因として、様々な心臓の病気があって引き起こされるものなのです。
心不全には、急に発症する急性心不全と、徐々に進行して発症する慢性心不全があります。それぞれ原因は異なっていて、それにより治療法も異なっています。
慢性心不全は徐々に進行します。心臓のポンプ機能が徐々に低下していくので、その代わりにポンプの力を補おうとして、代償機構が働き、心臓が大きくなったり、心拍数が増えたりします。ポンプの力を維持するような形で、症状が出ないように体が順応しているのです。なので、初めはあまり症状がなく、気づかないことがほとんどです。
代償機構が破綻し、呼吸困難やむくみが出てきたときに気づきます。
心不全の予防は、原疾患に対する治療と誘因の除去、これにつきます。
そして塩分制限です。適度な塩分制限と適度な運動をベースとして治療していきます。
心不全を予防するために一番大事な治療は高血圧の治療です。高血圧性の心不全は2番目に多いため、高血圧そのものが心不全を起こす危険性が高いということです。
そして、虚血性心疾患による心不全も依然として多く、その予後も不良です。虚血性心疾患を予防するには、動脈硬化の予防が必要であり、虚血性心疾患を引き起こす危険因子の喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病のコントロールが必要です。
再発予防のために、定期的な検査も必要です。重症度にもよりますが、まずは心臓の聴診、心電図、レントゲン、採血を3ヶ月に1度のペースで行うのが好ましいです。
心電図では原疾患の病変による変化がないか、新たな不整脈の出現がないかどうか、レントゲンでは心臓のCTR(心拡大)、肺鬱血や胸水がないかどうかをみて、悪化の前兆がないかどうかをみていきます。