かぜ症状
風邪症状(発熱、咳、鼻水、のどの痛みなど)で受診される患者さんは電話連絡の上、来院するようお願いします。
当院では、「咳」、「鼻汁/鼻閉」、「咽頭痛」の3領域の症状に注目し、風邪様症状を4つ(典型的風邪、鼻症状メイン型(急性副鼻腔炎)、喉症状メイン型(急性咽頭炎)、咳症状メイン型(急性気管支炎))に分けて考えていきます。
症状が多領域にまたがることがウイルス感染の特徴です。
また、最初の2,3日に症状のピークがあり、それを過ぎると徐々に軽快していきます。この経過から外れて増悪傾向、または一旦症状が軽快した後に悪化した場合は細菌感染症の合併を考えます。
細菌感染症(抗菌薬、抗生剤が必要となる)は、原則は1つの臓器に1つの菌の感染と考えられます。
・鼻症状メイン型:急性副鼻腔炎
鼻汁や鼻閉があり、症状が10日間を超える場合や重症(39度を超える発熱、膿性鼻汁、顔面痛が3日間以上続く場合など)は細菌感染症を疑い、治療には抗菌薬を用います。
・喉症状メイン型:急性咽頭炎
発熱、咳がない、圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹、白苔を伴う扁桃炎など複数に当てはまる場合、細菌感染症(A群溶連菌)を疑い、治療には抗菌薬を用います。
・咳症状メイン型:急性気管支炎/肺炎
高熱、頻呼吸(呼吸が早い)、酸素飽和濃度低下(酸素の取り込みが低下)、胸部の聴診異常などがあれば肺炎の可能性が考えられます。レントゲン検査や胸部CT、血液検査などを追加で行い、細菌感染症を疑う際には抗菌薬で治療します。
ウイルスによって起こる風邪には、抗菌薬を飲んでも意味がなく、抗菌薬には副作用もあります。
そうはいっても、「この前風邪をひいたときにはお医者さんが抗菌薬を出してくれたのに・・・」ということもあるでしょう。でも、その時風邪が治ったのは抗菌薬のおかげではありません。あなた自身の免疫力と休息で自然に治ったのです。
当院では適切な抗菌薬使用につとめ、あなたやあなたの家族、そしてあなたの地域のこと(不必要な抗菌薬使用は耐性菌[抗菌薬が効かなくなる細菌]を招き、本当に抗菌薬が必要な病気になった時に困ります)を、より一生懸命に、より広く、長い目で考え適切な医療を心掛けます。
文責 稲沢クリニック 副院長 橋本悠作 |