インフルエンザウイルス予防接種
従来通りのワクチン
※予約なしで投与可能です
※接種対象者(稲沢市在住) 1回1000円
※令和7年10月15日(水曜)から令和8年1月31日(土曜)
- 接種日において65歳以上の方
- 接種日において60歳以上65歳未満で、心臓・じん臓・呼吸器・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害のある方(身体障害者手帳1級程度)
3歳~64歳 3,300円
3歳未満 2,500円
生活保護世帯・市民税非課税世帯の方は無料。
ただし、接種時に次の証明書等が必要です。
- 生活保護世帯:市役所福祉課で発行される生活保護受給証明書
- 市民税非課税世帯:市役所課税課、支所、市民センターで発行される高齢者インフルエンザ用市民税非課税世帯証明(それぞれ有料200円)
市外のかかりつけの医療機関(県内のみ)で接種を希望される場合は、接種前に申請が必要となります。
日本では、生後6か月以上で12歳まで(13歳未満)では2回ずつ接種、13歳以上は1回接種を推奨となっています。
一方で、世界保健機関 (World Health Organization: WHO) や米国では、生後6か月~8歳まで(9歳未満)のお子様が、初めてインフルエンザワクチン接種を受ける場合は2回接種、翌年からは毎年1回の接種を続けるよう推奨されています。そして、9歳以上は接種歴に関わらず毎年1回接種を推奨されています。
※当院では、本人の苦痛と効果のバランスを考えて、13歳未満で以前にインフルエンザワクチンを接種されたことがあるお子様には、1回接種でのご案内となります。 13歳未満でインフルエンザワクチンを今回初めて打たれる方には、2回接種を行います。よろしくお願い致します。
痛くないワクチン(フルミスト)
※予約なしで投与可能です(ただし、在庫に限りがあるため来院前にお電話をいただくと確実です)
※2025年は10月1日より開始します。
2歳~18歳 7,700円 (1回のみ)
フルミストとは?痛くないインフルエンザワクチン
フルミストの正体:鼻からスプレーする新しいインフルエンザワクチン
フルミスト®は、従来のインフルエンザワクチンとは全く異なるタイプの「経鼻生ワクチン」です 。従来のワクチンが注射で投与されるのに対し、フルミストは専用のスプレー容器を使って、両鼻腔に0.1mLずつ噴霧するだけで接種が完了します 。針を刺す必要がないため、特に注射を苦手とするお子さんや、針の痛みから解放されたいと考える方にとって、画期的な選択肢となります 。
このワクチンの最大の特長は、弱毒化した生きたインフルエンザウイルスを使用している点にあります 。この弱毒化されたウイルスが、インフルエンザウイルスが体内に侵入する経路である鼻や喉の粘膜で増殖することで、より自然な感染に近い形で免疫を高めます 。従来の注射型ワクチンが血液中の抗体(IgG)を誘導し、体内に侵入したウイルスの増殖を抑えることを主な目的としているのに対し、フルミストは、ウイルスが体内に侵入するのを入り口で食い止める「粘膜免疫」(IgA抗体)も誘導します 。この作用機序の違いが、フルミストの持つ多くの独自の特徴の根幹となっています。
世界と日本での承認の歴史:なぜ今、注目されているのか?
フルミストは、2003年に米国食品医薬品局(FDA)によって承認されて以来、欧米を中心に30以上の国と地域で長年にわたり使用されてきました 。その安全性と有効性には豊富な実績があります。
日本では長らく、一部の医療機関が「個人輸入」という形で提供していましたが、この度、2023年に厚生労働省による国内製造販売が正式に承認され、2024年シーズンから一般の医療機関でも本格的な接種が開始される運びとなりました 。この国内承認は、フルミストの安全性と有効性が日本の厳格な基準に照らして評価されたことを意味します。
フルミストのメリット:4つの大きな利点
「痛くない」から注射が苦手なお子様に最適
フルミストの最大の特長であり、多くの患者さんに選ばれる理由が、接種時の痛みが全くないことです 。従来の注射型ワクチンでは避けられなかった針を刺す痛みや、その後の接種部位の赤み、腫れといった局所的な副反応がないため 、インフルエンザ予防接種に対する恐怖心を大幅に軽減できます。これにより、毎年予防接種を嫌がるお子さんでも安心して接種を受けることが可能です。
.お子様は原則1回で完了
フルミストは原則として1回の接種で十分な免疫効果が期待できます 。これにより、クリニックへの通院回数が1回で済むため、お子さんや保護者の方のスケジュールの負担を大きく軽減することができます 。
高い予防効果と長期的な持続力
フルミストは、インフルエンザウイルスの侵入口である鼻腔の粘膜で直接免疫を誘導するため、ウイルスが体内に入るのを初期段階で防ぐ「発症予防」の効果が特に期待されます 。特に2歳から7歳のお子さんにおいては、注射型ワクチンよりも高い予防効果を示すデータが報告されています 。
また、フルミストは従来のワクチンの効果持続期間が約4〜6ヶ月であるのに対し、約1年間持続すると考えられています 。この長期的な効果は、インフルエンザシーズンの終盤まで、または翌シーズンの予防接種まで、効果的な防御を維持できる可能性を意味します。
流行株が異なっても効果が期待できる可能性
インフルエンザウイルスは毎年変異を繰り返すため、ワクチンの効果は、流行する株とワクチンの株がどの程度一致しているか(適合性)によって左右されます。フルミストは、血液中の抗体だけでなく、注射型とは異なる「細胞性免疫」という仕組みでも免疫を高めることができます 。この免疫応答は、ウイルスの微妙な型の違いにも対応できると考えられており、たとえ流行の予測が外れた場合でも、ある程度の予防効果が期待できる可能性があります。
接種後の副反応について:風邪のような症状はなぜ?
フルミストは弱毒化されたウイルスが鼻の粘膜で増殖することで免疫をつけます。そのため、約6割の方に鼻水や鼻づまり、約1割の方に咳や喉の痛みといった「軽い風邪に似た症状」が出ることがあります 。これらは、ワクチンが免疫を構築している過程で起こる自然な反応であり、通常は数日で自然に軽快します 。
接種後にくしゃみや鼻水が出ても、ワクチン成分がすべて排出されるわけではないため、ワクチンの効果が減ることはないと考えられています 。ただし、ワクチンは生きたウイルスを含んでいるため、くしゃみや鼻水を通じて周囲の人に広がる可能性(水平伝播)がある点には注意が必要です 。ごくまれに、ショックやアナフィラキシー、ギランバレー症候群などの重篤な副反応が起きる可能性も否定できませんが、その発生頻度は他のワクチンと同様に極めて稀です 。
特に注意が必要な方、接種できない方(禁忌)
フルミストは生ワクチンであるため、従来の注射型ワクチンよりも接種対象者が限定されます。以下に該当する方は、接種できない、または接種前に医師への相談が必須です。これは、安全を最優先に考えた重要な判断基準です。
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年齢制限: 国内承認版の場合、2歳未満または19歳以上の方は接種できません 。2歳未満の乳幼児に接種した場合、喘鳴のリスクが増大したという報告があるためです 。
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免疫機能が低下している方: 白血病、HIV感染、臓器移植後、または免疫抑制療法を受けている方は接種できません 。これは、弱毒化されたウイルスであっても、免疫力が著しく低下している状態では、病気を引き起こす可能性があるためです 。
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喘息やその他の慢性呼吸器疾患がある方: 特に喘息の発作が頻繁に起きるなど、コントロールが不良な方は接種できません 。これは、鼻腔でのウイルスの増殖が気道に影響を及ぼし、喘息の発作を誘発する可能性があるためです 。
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妊婦または妊娠の可能性のある方: 生ワクチンであるため、接種できません 。
